今回は私のお勧めしたい本をご紹介します。
小川洋子さんが書いた「博士の愛した数式」は、当時多くの賞を取り、数学者の学会などからも感謝状が送られかなり話題になりました。いったん読み始めると、数字をキーワードに登場人物が織りなす何とも不思議な世界に引き込まれてしまいます。
小川洋子さんの数学の知識の豊富さと着想の斬新さにびっくりするばかりでした。博士の純粋な心根や素朴な人柄に魅かれ、いつの間にか博士と深い信頼関係を築き上げる少年ルート、その二人を見守りその世界に生命の息吹を吹き込んでいる家政婦。記憶力に限りのある博士のふとこぼす言葉には、筆者の肉声とも思える気持ちが込められているのも感動します。
特に、「この人の世で大切なものは見えない。」確かに優しさや誠実さなどは見えません。澄み切ったイメージそのままに映画化され、多くの人が感銘を受けました。
もう一冊は私のバイブル、河合隼雄さんの「心の処方箋」です。
河合隼雄さんの基本的な考え方が、55の日常的なテーマによって具体的にわかりやすく述べられ、河合ワールドが繰り広げられています。内容は重く深いもので、決して軽い読み物ではありません。
特に私がひきつけられたテーマをご紹介します。「一人でも二人、二人でも一人で生きるつもり」「家族関係の仕事は大事業である」「うまれ変わるためには死ななければならない」ぜひ一度手に取ってみてください。気持ちが楽になりますよ。」