アドバイザー:木内卓巳先生(元白陵高校)
将来のことが決めきれない、 自分はどこに向かっていけばいいのかわからない。
そんな生徒の心に寄り添う的確なアドバイス。大学受験に精通。相談には予約が必要です。相談ご希望の方はフクモトまで。
受験相談窓口・木内卓巳先生のお人柄、 教育観をコラムで皆さんにご紹介させていただいています。
第3回
姫路西高校で2回目の卒業生を送り出した後、急きょ校長に呼ばれ来季進路指導部長をやるように命ぜられた。
まさしく晴天の霹靂であった。「学年と円滑な協調体制をとり学校全体の力が結集し、生徒や保護者の期待に応えるように。」 との指示を受けるに至って、 これは現実だと気付いた次第である。
当時42歳と歴代の進路指導部長と比べて10歳若いので、これは多くの人の協力を得ないと到底やっていけないと改めて意思疎通御の大切さを肝に銘じた。結局3年間この仕事をさせていただいたが、それまで多かった諸会議を極力減らし、生徒との接触の時間を確保しようと努めた。 地域の優秀な生徒を預かってその潜在能力を開花させることに全力を注ぐこと、すべては生徒のためという軸をゆらがさないこと、 これだけは守ったつもりである。
ただ、 伝統校ゆえに長く続いてきた慣行が多く、それに慣れきった先生も少なくなかったため、抵抗も受けた。
昨年と同じことをやっていては低迷するのが企業なのに、 昨年と同じことをしないと気が済まないのが学校。
同じ時代の空気を吸っているのに、学校というものがそれで進歩するとは思えなかった。変化こそ美徳。
これが当時の私の主張だった。
当時、現役で東大10京大20阪大25神大60が暗黙のうちの各学年のノルマであり、結局この数字がプレッシャーとなった。
いろんなことを経ながら3年間進路部長を務めた。その地位にしがみつく気持ちもなく、 身の振り方を思案している時、 懇談会で顔見知りであった白陵高校のA先生から声をかけていただいた。 公立高校でできることはほとんどやり尽くしたという気持ちもあり、 公立には未練を感じなかったので、あっさりと誘いに乗った。
ただ、ここまでライバルであったいわば敵陣に身を寄せることについては厳しい批判があることは重々承知していたが、少なくとも面と向かって批判されることはついぞ1回もなかった。
これ以降, 40代で公立から私立にトラバーユする先生が何人も出て、県教委も少しあわてたとか。